放射光を利用した先端分光と物質科学

高田 恭孝(理化学研究所・播磨研究所)

要旨

物質の電子状態・化学結合を解明する手段として、放射光を利用した分光手法が果たしてきた役割は多大である。特にSPring-8に代表されるような高輝度第3世代放射光源の登場は、新しい分光法の実現と既存分光法の進展をもたらした。セミナーでは、元素選択的にかつ軌道の対称性を分離して価電子構造を調べることが可能な軟X線発光分光法と、プローブ深さが大きく“表面鈍感な”硬X線励起光電子分光法の特徴を示し、強いπアクセプターであるSO2分子がNi(100)表面に化学吸着した系の電子状態・化学結合に関する研究結果、希薄磁性半導体Ga1-xCrXNや強相関エレクトロニクス材料の電子構造についての研究結果を中心に紹介させていただく。また、最近稼動状態に入ったSPring-8の理研専用軟X線アンジュレータビームラインBL17SUで計画されている新たな研究展開についても簡単に触れる予定である。